Blog
ブログ
オリンピック・パラリンピック
スノーボードを安全に楽しむためには?
2022.02.18
北京冬季オリンピックでスノーボードは大きな注目を浴びており、先日のハーフパイプで平野歩夢選手の金メダルをはじめ、女子ビッグエアにおいて、村瀬心椛選手(17歳)が銅メダルを獲得しました。冬のオリンピックで日本女子最年少でのメダル獲得となり、大きな話題となっています。今後、スノーボードを始める若年層が増え、ウィンタースポーツの人気回復の兆しが見えてくるのではないでしょうか。
スノーボードを始める若年層の増加に伴い、それに関連するケガが増えることは予想されます。そこで、日本のスノーボードの傷害の特徴とその対策を提案したいと思います。
Kuzuharaら(2021)は、全国スキー安全対策協議会が毎年発表している「スキー場傷害報告書」のデータをもとに、2012/2013 年シーズンから 2017/2018 年シーズンまでの 6 シーズンを調査対象とし、国際的指標である 1000skier-days (以下 SDs)当たりの傷害発生率(Injury Rate)を指標として、日本でのスキーおよびスノーボードの傷害分析を行い、傷害実態とその対策を報告しています。
日本でのスノーボードの傷害発生率は、スキーの傷害発生率より1.62 倍高いことが明らかとなりました。スノーボードは、上肢(49.5%、1.40/1000SDs、特に肩関節、手首)および頭部・首(16.0%、0.45/1000SDs、特に頭部)のケガが多いのが特徴です。傷害メカニズムについて、バランスを崩すことによる転倒およびジャンプやトリックの失敗に起因する転倒が多く、ほとんどの傷害は圧雪された緩斜面や中程度斜面で発生しています。
スノーボードは初心者や初級者の傷害発生が多く、年齢別では20~29歳の若者の傷害が多発しています。その多くの負傷したスノーボーダーはヘルメットを着用していなかったことが報告されています。さらに、6 シーズンにおいて、31 人のスノーボーダーが死亡しています。
この研究結果から、スノーボードなどのスノースポーツは手軽なレジャースポーツというより、重傷または致命傷につながるリスクの高いスポーツであることを認識する必要があります。
そこで、まず個人ができる適切な安全対策は、1)スクール等で専門家から適切な技術指導と安全教育を受けてから始めること、2)必ずヘルメットを着用してスノーボードやスキーを楽しむこと、以上2点が重要です。
是非、この2点の安全対策を踏まえてスノースポーツを楽しみましょう!!
参考文献
Kuzuhara K, et al. Incidence of skiing and snowboarding injuries over six winter seasons (2012–2018) in Japan. J Phys Edu Sport, 2021, 20(1): 73-80.