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アクアエクササイズ

アクアトレッドミルでのランニングの効果は?

2022.03.31

アクアトレッドミルでのランニング vs 陸上トレッドミルでのランニング

 

 一般の競技ランナー男子12名、女子11名、合計23名を対象に、アクアトレッドミルでのランニングと陸上のトレッドミルでのランニングにおける心肺機能(最大酸素摂取量、最大心拍数、1回換気量、換気量、呼吸数、呼吸交換比)、血中乳酸濃度、主観的運動強度(RPE)の比較をした研究を紹介し、アクアエクササイズのプロトコルの提案をしたいと思います。

 その結果、アクアトレッドミルでのランニングは、陸上でのトレッドミルでのランニングと同等の心肺機能の反応が認められました。また、血中乳酸濃度および主観的運動強度にも差が認められなかったことから、水中および陸上の両方でのトレッドミルランニングは同様の運動強度レベルで実施できたことが示唆されました。

 ただし、水中でのアクアトレッドミルのランニングでは、水深が剣状突起の深さ(体幹部の1/2くらいの深さ)で実施した場合に上記の結果が得られました。したがって、水深が剣状突起より深くなると、さらに浮力が大きくなり、それに伴う流水抵抗も大きくなります。そのことで、運動負荷の増加が打ち消され、最大酸素摂取量や最大心拍数が減少することになります。

 以上のことから、アクアトレッドミルによるランニングを実施する際には、トレーニングの目的に合わせて、水深を調節することがポイントです。つまり、陸上でのトレッドミルランニングと同等の効果を得たい場合、水深を剣状突起の深さまでに調節し、アクアランニングを実施することが望ましいと思われます。

 

プロトコル例

・流水プールでアクアトレッドミルによるランニングを実施

・水温28度

・水深:選手の剣状突起の深さ(身長にもよりますが、110~120㎝程度)

・流水速度:水中でのランニングができる流水(最大流水速度を100%とした場合、40%程度の流水速度)

・ウォーミングアップのアクアランニング(5分)

・アクアランニングスピードを1分毎に13.4m/分ずつ上げ、最大スピード(200.0m/分程度)に到達するまで段階的に上昇させる。

・最大スピードになれば、今度は流水速度を毎分10%ずつ上げる。

*トレッドミルや流水速度はメーカーや機種によって異なるので確認が必要です。

 

参考文献

Silvers WM, et al. Peak cardiorespiratory responses during aquatic and land treadmill exercise. Med Sci Sports Exer, 2007, 39(6): 969-975.

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