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スポーツ傷害
アイシングの再考~PEACE & LOVEの手法を提唱!!~
2022.03.22
これまで急性傷害にはアイシングをするのが一般的な応急処置法ですが、アイシングを再考する必要がありそうです。そこで、Dubois & Esculier(2020)が提唱する新たな手法である「PEACE & LOVE」は以下の通りです:
P:Protect、患部を保護する。患部を悪化させないように1~3日程度安静にすることです。長すぎる患部の安静は筋力低下などを招くためNGです。
E:Elevate、患部を心臓より高く挙上する。
A:Avoid anti-inflammatory modality、炎症反応を阻害することはしない。炎症反応は組織の治癒を促進させるために必要な反応過程であることを理解することが大切です。つまり、アイシング(患部を冷やすこと)や消炎鎮痛剤の服用(ステロイド系、非ステロイド系)をしないことです。
C:Compress、患部を圧迫する。弾性ラップやバンテージ、テーピング等での患部の局所圧迫をすることで、内出血や浮腫を軽減することができ、生活の質向上が可能です。
E:Educate、ケガした人を教育する。即効性のある魔法の治療を追い求めるのではなく、治癒にはある程度の時間がかかることを理解することが大切です。また、誰かに治してもらうことに強く依存する考え方は、過剰治療や不必要な手術等につながるリスクもあります。自分ができることに意識を置き、徐々にリハビリを進めることが必要ではないでしょうか。
L:Load、急性期後には患部に負荷をかける。患部を積極的に動かすことが治癒の促進につながります。
O:Optimism、前向きに考える。前向きに考えることで、受傷後の結果や予後に影響をします。
V:Vascularisation、痛みのない範囲での心臓血管系のエクササイズは、モチベーションを上げ、患部への血液循環を向上させることができます。
E:Exercise、できるだけ早期にリハビリエクササイズを開始することは、傷害の治癒を促進することにつながると様々なエビデンスで明らかにされています。
以上です。
PEACE & LOVEの手法では、「アイシングをしない」ということになっていますが、Dr. Mirkinによると、アイシングは急性の痛みを軽減できるので、10分程度のアイシングをし、その後20分間はアイシングを取り、弾性ラップ(バンテージ)による患部の圧迫を行ことが提案されています。また、10分間のアイシングは1~2回までとすることも指摘されています。その後、ケガの程度が軽ければ、翌日からDubois & Esculier(2020)が提唱するLOVEによるリハビリテーションを行うことが早期回復のポイントのようです。皆さん、是非トレーナーなどの専門家の指導の下、上記の手法をお試しください。
参考文献
Dubois B & Esculier JF. Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. Br J Sports Med. 2020, 54(2): 3-5.
Why Ice Delays Recovery, https://www.drmirkin.com/fitness/why-ice-delays-recovery.html
参照日:2022年1月28日.