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プロ野球での走り込みは下半身の強化をできるか?

2022.03.3

伝統的な走り込みで下半身強化はできるか?

 

 プロ野球では、春季キャンプも終わりオープン戦の時期に突入しました。キャンプ中には、多くのチームで「投げ込み」「打ち込み」「走り込み」という3つの「込み」トレーニングを中心に「ノック(守備練習)」などの厳しい練習が行われています。今回は、伝統的な「込み」トレーニングの一つである「走り込み」に関するエビデンスを紹介します。

 

「持久力TR(=走り込み)」vs「スプリントTR」

 大学1部リーグに所属している野球選手16名を対象に、18週間の野球シーズンを通して、スピードあるいはスピード持久力TR(週3回)と中程度~高強度の持久力TR(20~60分走、週3~4回)の2つのグループにおいて、シーズンを通したトレーニングをそれぞれ実施し下肢パワーの比較をしました。

 Borg主観的運動強度の12~18とは、「ややきつい」から「かなりきつい」の範囲の強度で実施されました。

 18週間のシーズンを通して、持久力TRグループは、下肢筋パワーが-39.50±128.03 W(ワット)低下し(-2.6%減)、スプリントTRグループは下肢筋パワーが+210.63±168.96 W増加しました(+15.3%増)。したがって、レジスタンスTRと持久力TRを同時に実施した場合、それぞれのトレーニング目的が相殺され、両立しないことが明らかとなりました。

 野球界の伝統的な持久力トレーニングをスピードあるいはスピード持久力やパワートレーニングに変える必要があることが示唆されました。走りこみで下半身強化をするという考え方は再考する必要があり、下半身強化であれば、レジスタンストレーニングやスピードトレーニングを導入し、パフォーマンスの向上につなげることが望ましいのではないかと考えられます。

 

参考文献

Rhea MR, et al. Noncompatibility of power and endurance training among college baseball players. J Strength Cond Res, 2008, 22(1): 230-234.

運動強度とは:健康長寿ネット、https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/undou-kyoudo.html  参照日:2022年3月2日.

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